6.1. Lesson: データを再投影および変換する
ここでもう一度、座標参照系(CRS)の話をしましょう。以前にも少し触れたことがありますが、実用上どのような意味があるのかについては触れていませんでした。
このレッスンの目標: ベクターデータセットの再投影および変換をします。
6.1.1. Follow Along: 投影法
この時点で全てのデータと地図自体のあるCRSは、 WGS84 と呼ばれています。これは、データを表現するためのとても一般的な地理座標系(GCS)です。しかし、これから見ていくように問題があります。
現在の地図を保存してください
次に、
exercise_data/world/world.qgs
の下にある世界地図を開いてください拡大 ツールを使って南アフリカを拡大表示します
画面下の ステータスバー にある 縮尺 フィールドにスケールを設定してみてください。南アフリカの上で、この値を
1:5 000 000
(1対500万)に設定してください。縮尺 フィールドを見ながら、マップをパンします
スケールが変化していることに気づいたでしょうか?それは、画面の中心にある 1:5 000 000
でズームした1点から遠ざかっているからです。その点から離れたところでは、縮尺が異なります。
理由を理解するために、地球の球体を考えます。そこには北から南に複数の線が引かれています。これらの経線は、赤道では遠く離れていますが、極で出会っています。
GCSでは、この球体で作業をしているのですが、画面は平らです。球体を平面で表現しようとすると、テニスボールを切り開いて平らにしようとするのと同じような歪みが発生します。これは地図上では、経線は極点(合流するはずの場所)でも同じように離れていることを意味します。つまり、地図上で赤道から遠ざかるにつれて、見えるものの縮尺はどんどん大きくなっていくのです。このことは、現実的には、地図上に一定の縮尺が存在しないことを意味します!
この問題を解決するため、かわりに投影座標系(PCS)を使用してみましょう。PCSでは縮尺変更のための余裕を作り、それを修正する方法でデータを「投影」または変換します。そのため、一定の縮尺を維持するために、PCSを使用するために私たちのデータを投影変換する必要があります。
6.1.2. Follow Along: オンザフライ 再投影
デフォルトでは、QGISはデータを「オンザフライ」で再投影します。この意味は、データそのものが別のCRSにある場合でも、QGISはそれを任意のCRSにあるかのように投影することができるということです。
QGISの右下にある 現在のCRS ボタンをクリックすることで、プロジェクトのCRSを変更することができます。
表示されたダイアログで、
global
という単語を フィルタ フィールドに入力します。その下の あらかじめ定義されたCRS フィールドに、いくつかの CRS が表示されるはずです。WGS 84 / NSIDC EASE-Grid 2.0 Global | EPSG:6933 のエントリをクリックして選択し、 OK をクリックします。
南アフリカの形状が変化することに注意してください。すべて投影法の変更によって地球の見た目としての形状が変わります。
前と同様に、
1:5 000 000
の縮尺に拡大します。地図をパンニングします。
縮尺は同じままであることに注意します!
「オンザフライ」再投影は異なるCRSのデータセットを組み合わせて使う際にも用いられます。
南アフリカのデータのみを含む別のベクタレイヤを地図に追加します。これは
exercise_data/world/RSA.shp
として見つかります。それを読み込みます。そのCRSを見る簡単な方法は、凡例のレイヤにマウスカーソルを置くことです。それは
EPSG:3410
です。何に気づきますか?
レイヤは continents と異なる CRS を持つ場合でも、表示されます。
6.1.3. Follow Along: 他のCRSに設定したデータセットの保存
時には、既存のデータセットを別の CRS でエクスポートする必要があります。次のレッスンで説明するように、レイヤー上で距離計算をする必要がある場合、投影座標系でレイヤを持つことが常に良いことです。
「オンザフライ」再投影は、プロジェクト に関連するものであり、単一のレイヤに関連するものではないことに注意し てください。つまり、レイヤを 正しい 位置で見たとしても、プロジェクトとは異なるCRSを持つことがあります。
レイヤを別のCRSでエクスポートすることが簡単にできます。
training_data.gpkg
からbuildings
データセットを追加しますレイヤ パネルで
buildings
レイヤを右クリックします表示されたメニューから 名前をつけてベクタレイヤを保存... ダイアログが表示されます。
を選択します。すると、ファイル名 フィールドの隣にある ブラウズ ボタンをクリックします
exercise_data/
に移動して、新しいレイヤの名前をbuildings_reprojected.shp
に指定します。CRS の値を変更します。最近使用されたCRSのみがドロップダウンメニューに表示されます。ドロップダウンメニューの横にある、 CRSの選択 ボタンをクリックします。
CRSの選択 ダイアログが表示されます。その Filterフィルタ フィールドで
34S
を検索します。リストから WGS 84 / UTM zone 34S | EPSG:32734 を選択します。
他のオプションは変えずにおきます。名前を付けてベクタレイヤを保存... ダイアログは次のようになります:
OK をクリックします
これでレイヤの新旧の投影を比較すると、2つの異なるCRSでありながら、重なっていることがわかります。
6.1.4. Follow Along: 独自の投影法の作成
投影はデフォルトでQGISに含まれるものだけよりも多くあります。自身の投影も作成できます。
新しい地図を始めます
world/oceans.shp
データセットを読み込みますを実行すると、このようなダイアログが表示されます。
面白い投影法として
Van der Grinten I
というのがあります。その名前を 名前 フィールドに入力してください。他のほとんどの投影がそうであるように、この投影は、長方形のものの代わりに円形フィールドに地球を表します。
形式 で、 WKT(推奨) を選択します
パラメータ フィールドに次の文字列を追加します:
PROJCRS["unknown", BASEGEOGCRS["unknown", DATUM["unknown", ELLIPSOID["unknown",6371000,0, LENGTHUNIT["metre",1, ID["EPSG",9001]]]], PRIMEM["Greenwich",0, ANGLEUNIT["degree",0.0174532925199433], ID["EPSG",8901]]], CONVERSION["unknown", METHOD["Van Der Grinten"], PARAMETER["Longitude of natural origin",0, ANGLEUNIT["degree",0.0174532925199433], ID["EPSG",8802]], PARAMETER["False easting",0, LENGTHUNIT["metre",1], ID["EPSG",8806]], PARAMETER["False northing",0, LENGTHUNIT["metre",1], ID["EPSG",8807]]], CS[Cartesian,2], AXIS["(E)",east, ORDER[1], LENGTHUNIT["metre",1, ID["EPSG",9001]]], AXIS["(N)",north, ORDER[2], LENGTHUNIT["metre",1, ID["EPSG",9001]]]]
OK をクリックします
新しく定義した投影法を選択します( フィルタ フィールドでその名前を検索します)
この投影法を適用するため地図は再投影され、こうなります:
6.1.5. In Conclusion
異なる投影は、異なる目的のために有用です。正しい投影を選択することにより、地図上の地物が正確に表現されていることを確認できます。
6.1.6. Further Reading
このレッスンの Advanced セクションの教材は、 この記事 から引用したものです。
Coordinate Reference Systems に関する詳細な情報はこちらをご覧ください。
6.1.7. What's Next?
次のレッスンでは、QGISの様々なベクトル解析ツールを使って、ベクトルデータを解析する方法を学びます。