目的: |
ベクターデータにおけるトポロジの理解 |
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キーワード: |
ベクター、トポロジ、トポロジルール、トポロジエラー、検索半径、スナップ距離、単純地物 |
トポロジ はGISにおけるベクターの地物(ポイント、ポリライン、ポリゴン)の接続または隣接のような空間的関係を表現したものです。トポロジデータまたはトポロジベースのデータはデジタル化エラー(例えば、 道路レイヤー内の2本のラインが交差点で完全に合っていない)を検出して修正するのに便利です。トポロジは、ネットワーク分析のような、ある種の空間分析を実行するのに必要です。
ロンドンに旅行すると想像してみてください。観光ツアーでは、まずセントポール大聖堂へ、そして午後はお土産を求めてコヴェント・ガーデン・マーケットを訪れると計画します。ロンドンの地下鉄路線図( figure_topology_london を参照) を見て、コヴェント・ガーデンからセントポールへと行く接続する列車を見つけなければなりません。これには、どこで列車を乗り換えることが可能かについてのトポロジ情報(データ) が必要です。地下の地図を見ると、位相的な関係が接続を示す丸印によって示されています。
トポロジエラーにはさまざまな種類があり、ベクター地物タイプがポリゴンなのかポリラインなのかに応じて分類できます。 ポリゴン 地物でのトポロジエラーには、閉じていないポリゴン、ポリゴン境界の隙間、ポリゴン境界の重複といったものがあります。 ポリライン 地物で一般的なトポロジ的エラーは、ポイント (ノード) で完全に合っていないことです。このタイプのエラーは、線の間にギャップが存在する場合 アンダーシュート と呼ばれ、ラインが接続しなければならないラインを超えて終了した場合 オーバーシュート と呼ばれます ( figure_topology_errors 参照) 。
オーバーシュートとアンダーシュートのエラーはいわゆるラインの端にある’ぶら下がりノード’です。ぶら下がりノードは、特別な場合、例えば、行き止まりの通りに接続されている場合には許容されます。
トポロジエラーは、地物間の関係を壊します。ネットワーク分析(例えば、道路ネットワークを介して最適なルートを見つける)または計測(例えば、川の長さを見つける)といった手順でベクターデータが分析できるようにするには、これらのエラーを修正する必要があります。トポロジがネットワーク分析と計測に有用であることに加えて、正しいトポロジでベクターデータを作成することが重要かつ有用である他の理由があります。ご自身の地域のために市町村界地図をデジタル化して、ポリゴンが重なっていたりスライバがあったりするとちょっと想像してみてください。このようなエラーが存在した場合、計測ツールは使用はできますが、得られる結果は不正確になります。どの市町村の面積も正しく知ることができませんし、市町村間の境界がどこにあるかも正確に定義できません。
位相的に正しいデータを作成し所有することは、自分の解析のために重要なだけでなく、データを渡される人々のためでもあります。データを渡された人はデータと分析結果が正しいことを期待するでしょう!
幸いなことに、ベクター地物をデジタル化する場合に発生しうる多くの一般的なエラーは、多くのGISアプリケーションに実装されているトポロジルールで防止できます。
いくつかの特別なGISデータ形式を除いて、トポロジは、通常はデフォルトで適用されません。QGISのような多くの一般的なGISは、ベクターレイヤーに実装されるように、リレーションシップルールとしてトポロジを定義し、ユーザーがルールを選択できます。
次のリストは、ベクター地図の現実世界の地物がどのトポロジルールで定義されるかの例を示しています:
市町村地図の領域の境界が重なり合っていてはいけません。
市町村地図の領域の境界にギャップ(細長い隙間)があってはいけません。
境界を示すポリゴンは閉じていないといけません。境界線のアンダーシュートやオーバーシュートは許可されません。
ベクターの線レイヤーにおいて等高線のラインはインターセクト(互いに交差)してはいけません。
多くのGISアプリケーションは、トポロジの編集をするためのツールを提供しています。QGISの例では、トポロジの編集を有効 にすることで、ポリゴンレイヤーにおける共有境界を編集・維持することを改善できます。QGISなどのGISではポリゴン地図内の共有境界を「検出」するので、1つのポリゴンの境界の縁頂点を移動するだけで、もう1つのポリゴン境界の更新が figure_topological_tools (1)に示されるようにQGISによって保証されます。
別のトポロジのオプションでは、デジタル化の際に ポリゴン重なり を防止できます( figure_topological_tools (2)参照)。既に1つのポリゴンを使用している場合、このオプションによって、第2の隣接するポリゴンを元のポリゴンと重なるようにデジタル化すると、共通の境界で2番目のポリゴンがQGISによってクリップされるようにできます。
スナップ距離は、デジタル化時に接続しようとしている最も近い頂点および/またはセグメントをGISが検索するために使用する距離です。セグメント は、ポリゴンまたはポリラインジオメトリの2つの頂点の間に形成された直線です。スナップ距離内でない場合には、QGISのようなGISでは頂点を、既存の頂点および/またはセグメントにスナップせずに、マウスボタンを放したところに残すでしょう( figure_snapping_distance 参照)。
検索半径は、地図をクリックしたときに、動かそうとしている最も近い頂点を検索するためにGISが使用する距離です。検索半径内にない場合、GISは地物編集用の頂点を検索・選択しません。原理的には、スナップ距離機能に極めて類似しています。
スナップ距離と検索半径は両方とも地図単位で設定されていますので、距離値を正しく設定するには試行錯誤する必要があるかもしれません。大きすぎる値を指定した場合、近くに密集した頂点を扱っている場合は特に、GISは間違った頂点にスナップします。小さすぎる検索半径を指定した場合、GISアプリケーションは移動または編集する地物または頂点を見つけることができません。
トポロジを必要とするデータ分析(例えば、ネットワーク経由のルートを見つけるなど)のためでなく、主に簡単にするためと高速なレンダリングのために設計されています。多くのGISアプリケーションでは、トポロジ的なデータと単純な図形データを一緒に表示できます。両方とも作成、編集、および分析できるものもあります。
ここでは以下のことを学びました:
トポロジ は隣接するベクターの地物の空間的関係を示すものです。
GISでのトポロジは トポロジツール によって提供されます。
トポロジは デジタイズのエラーを検出し修正する ために利用されます。
ネットワーク分析 のように、 いくつかのツールではトポロジデータが必要不可欠です。
スナップ距離 と 検索半径 はトポロジ的に正しくベクターデータをデジタイズするのに役立ちます。
単純地物 データは真のトポロジデータ・フォーマットではないが、GISアプリケーションで一般的に使われます。
ここでは人に教える際のアイデアをいくつか述べていきます:
トポシート地図であなたの地域のバス停に注目しましょう。すると2点のバス停間の最短ルートを見つけることができます。
あなたの町のトポロジ的道路網を表現するために、GISにベクター地物を作成する方法を考えます。どんなトポロジのルールが重要であり、どのようなツールをあなたの生徒たちがQGISで使用して、新しい道路レイヤーが位相的に正しいことを確認できるでしょうか?
利用可能なコンピュータがなくても、バスや鉄道の路線ネットワーク図を使用すれば、空間的な位置関係とトポロジについて生徒たちと議論できます。
図書:
Chang, Kang-Tsung (2006). Introduction to Geographic Information Systems. 3rd Edition.(地理情報システムの紹介 第3版) McGraw Hill. ISBN: 0070658986
DeMers, Michael N. (2005). Fundamentals of Geographic Information Systems. 3rd Edition. (地理情報システムの基礎。第3版)Wiley. ISBN: 9814126195
ウェブサイト:
QGISユーザーガイドには QGISで提供されるトポロジ編集に関する詳細な情報があります。
続くセクションでは、データを球体の地球から平らな地図へとどのように関連づけるかを理解するため、 座標参照系 についてさらに詳しく見ていきます。